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2014年1月

2014年1月26日 (日)

調味料の話し⑤バター

料理教室に初めてご参加いただく場合、わたしの連絡先をお知らせするために名刺をお渡しします。そして、ブログのバックナンバーを探して調味料の話を読んで下さるようにお願い。

塩、オイル、酢、スパイスについて、まだご質問を頂きますが、基本はブログを読んで頂くと、わたしの考え方が理解頂けるかな、と思っています。

 

 あとお話してなかったのがバターですね。日本では有塩が普通なのに対して、フランスでは調理には食塩を加えてないものが普通、食卓で使うのに塩入り、塩入でも粒塩が入ったかなりしょっぱいのも売っています。レストランでも洒落た店だと塩入り、ナシと両方置いてあり、田舎パンに塩の効いたバターを塗ると確かに「美味しい!」

 ただ、こちらのバゲットは基本的に塩味の効いたパンですので無塩バターで十分丁度良いと思うし、ケーキ作りに塩入りだと、たいてい塩が効き過ぎなので、あとからひとつまみ加えた方が安心でしょう。そう、無塩バター+塩は出来ても、塩バターから塩抜くのは大変です。昔々、無塩バターが手に入らなかった頃は氷水にバターをつけて揉んで「塩抜き」なんて面倒な作業をしたんですよ~。

 というわけで、新鮮さも美味しさのポイントなバターを塩入り、ナシの二種類をそろえるよりは無塩バターだけで、塩は必要な時に足すのが私のやり方です。

ただでさえ、無塩バターは塩が入らない分保存性は少なくなっていますのでね。

わたしは試作もあり、プレゼント用にもやたらとお菓子を焼くので250gのバターを使いきるのはあっという間ですが、普段は和食の方だったら半分は冷凍保存したほうが新鮮さが保たれるかもしれません。冷凍することでも少々味が落ちるかもしれませんが、開封したバターをそのまま冷蔵庫に入れっぱなしよりは、ずっと良いはずです。450gのバターを買ったら絶対に半分は冷凍でしょう。

日本でもお馴染みのエシレバターは我が家の近所のスーパーでは3ユーロしないくらい(350円くらいかな?現在ユーロ高につき、物価が高いのですが)で買えますが、250gとその半分のミニサイズで大きなのはありません。たまに、塩入りのバターが食べたくなると小さいサイズのを買います。

 もちろん、日本で買うのに比べればすごく安いのですが、それでもフランスのバターの中ではノルマンディ産のボルディエというブランドと共に高級品で、エシレと同じ産地で美味しい別の(=おそらく知名度が低いから安いのだと思う)ブランドを馴染みのチーズ屋で買うこともあります。

 

バターは他の食品の臭いを吸いやすいということで、ジッパー付きの袋に入れ、冷蔵庫の蓋のある場所に臭いの心配の無いものと一緒に保存。我が家はヘビーユーザーですので、あんまり保存に気を使ってないのだけど(苦笑)

で、料理の本によくバター大さじ○杯って書いてありますが、冷蔵庫から出した固いバターをスプーンで計量?で、こんな方法をお薦めしています。

バター大匙一杯は約14g、250g入りのバターを16等分すると15.6g、化学実験ほどの正確さを求めないのなら、あんまり違いませんよね。ま、すこし多めな分カロリーが増えるけどねぇ・・・。

あたらしいバターのパッケージを開けたら表面に8等分か16等分にに筋を入れて置く→大匙一杯見当のバターが簡単にカット出来ちゃうでしょ?とっても便利なのでお試しください。

この時全部キューブ状に切り分けてしまうと表面積が増えて品質低下が早まるので筋を入れて置くだけの方が良いと思います。筋を付けただけなら、食卓のバター皿に入れる時も丁度良い大きさに切って筋の付いてない側を上にして置けば全然目立ちませんしね。

わたしがお教えする「家庭料理」でしたら、大匙一杯に1.6g誤差があって失敗はありませんのでご安心を。

もうひとつ、ソースにとろみをつけたり、いろんな場合でバターは室温に戻して使用することが多い食材です。その時にバターを計量しないで室温に置いておかないこと!柔らかくなったり、うっかりレンジの傍で溶けかけたりしたのをまた冷蔵庫で固めたら味が劣化しちゃいます。

 また、やわらげたバターと書かれたり、教室でわたしが申し上げた場合、すっかり溶かしちゃったらダメですよ~。溶けちゃったバターは冷やしても和らげたバターには戻らないのです。残念ながらやり直してくださいね。

 で、溶けちゃったバターはどうする?

 完全に溶けたバターを良く見ると上部は透明で、下の方は濁ってますでしょ?この下の部分を捨てて上の透明な部分だけを別のビンなどに入れて冷蔵庫で保存。次に玉子を焼く時などに使用するとバターが焦げて黒いツブツブが出たりしない「優秀なオイル」として使えます。

 昔風のフランス料理では焼ものに「澄ましバター」といって、この上澄みバターをわざわざ作って使用していたほどで、バターの風味のある素晴らしいオイルになるわけですが、ま、コレステロールや価格問題で、現在はかなりのレストランでも、こんな手間はかけてないそうですが。

 焼きたてのバゲットにたっぷりとバターを乗せて(塗るのではありません)食べるとパリに生活する幸せを感じる!おいしいバター。

 最近はマーガリンよりむしろ健康に良い、とも言われているくらいのナチュラルな調味料です。保存法に注意して上手に料理にも使用していきましょう。

 「ノア流」の料理はほとんど味付けは塩と少量のスパイスくらいですので、新鮮な材料に加えてバターやオリーブオイルが美味しさを作りだす強力な味方なのです。

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